1/29放送 和歌山城の知っているようで知らない歴史「和歌山城の石垣」

2025年1月29日

☆本日の放送はこちらからお聴きいただけます☆

今回は「和歌山城の知っているようで知らない歴史」について和歌山城整備企画課の伊津見孝明さんに伺います。

砂岩で積まれた石垣(けやき大通りから二の丸側を向く)

Q: 前回は天守と紀州徳川家をめぐるエピソードを中心にお送りしましたが、今回は和歌山城の構成要素でももっとも重要な石垣についてという事でお話お願いいたします。
和歌山城ではやはりシンボル的存在である天守に光が当たりがちですが、城内各所に残る石垣もまた大切な文化財です。

Q: 色んな材質の石が見られますよね。
材質でいうと結晶片岩、砂岩、花崗斑岩の3種類が確認されています。

Q: それぞれの石の特徴を教えてください。
結晶片岩は全体的に緑っぽい色をしており、石が横にしか割れないという特徴があります。だから、城内で結晶片岩を積んだ石垣を見ると扁平な石が多いです。
一方、砂岩は灰色っぽい色をしており、結晶片岩と違って石が柔らかく加工がしやすいのが特徴です。最後に、花崗班岩は、主に熊野周辺で採れる石で、全体的に肌色をしています。

結晶片岩で積まれた石垣(鶴の渓)

Q:  花崗班岩は、主に熊野周辺で採れる、とおっしゃっていたのですが、 他の石はどこから採れるのでしょうか?
結晶片岩は和歌山城の周辺で主に採れる石材です。具体的には岡公園にもかつては採石場があって今でもそこに石を採った痕跡が残されています。
砂岩は主に友ヶ島で採れる石でして、おそらく海で船を使ってこの和歌山城まで切った石を運び込んだと考えられています。

Q: 非常にバラエティに富んだ石で石垣が造られているんですね。また積み方も見ていると色んな形式が見られますよね。
和歌山城では主に自然の石をそのまま積んだ野面積、石の表面や石同士が接する部分のみ加工して積む打込み接ぎ、石と石の間に隙間がないくらい精密加工して積む切り込み接ぎの3種類の積み方が見られます。

Q: 石を積んだ時の隙間のなさ、石垣にカーブがあったり、ピンととんがっていたり、この技術、すごいですよね。
織田信長、豊臣秀吉の時代にはそんな技術というものは、まだ開発されなかったのですが、たくさん信長・秀吉時代に全国で築城がいっぱい行われ、そうした中で技術がどんどんレベルがあがっていって、最終的にはそういった高い石垣も作られるようになったんだろうと考えられています。

花崗斑岩で積まれた石垣(伏虎中門跡)

Q: 石垣が積まれた時期はだいたいわかるのですか。
結晶片岩の野面積が豊臣・桑山期、砂岩の打ち込み接ぎが浅野期・徳川期、花崗斑岩の切り込み接ぎが徳川期と説明できるのですが、一部例外もあり、今後も研究が必要と考えています。

Q: 当てはまらない石垣だとどこが挙げられますか。
天守台石垣下、今の券売所から先にあるスロープ状の通路を支える石垣ですね。幕末に築かれた石垣ですが、ここは結晶片岩の切り込み接ぎのような、石をきれいに加工して隙間なく積んでいるという特徴があります。

また、和歌山城に行った時の楽しみが増えました。

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